小泉宗雄・「三光太源文化研究所」のご案内

第7話(その2)2014年4月


スピリチュアル エピソード 第7話
平成26年4月



物理降霊会の風景と、私が助手を務めた実験会



その2 私が助手を務めた物理実験会


 もう四十年ほど昔になりますが、三鷹での主護霊会の折に、“叔父さん、一回、物理現象を見せてください”と竹内満朋にねだったことがありました。

 “そうか、では宗雄君は俺の助手をやれ”そう云って、中央区入船にある鉄砲洲稲荷に来るよう日時を指定してくれました。夏場の、時刻は確か夜8時ごろと記憶しております。

鉄砲洲稲荷は中央区湊一丁目・日比谷線八丁堀駅から5分の所にあり、16世紀半ばの足利義輝の冶世に形成された京橋地一帯の産土神であります。

氏子エリアは、銀座一丁目〜八丁目、新富町、入船一丁目〜三丁目、湊一丁目〜三丁目、そして明石町と広がっており、京橋区木挽町一丁目(現在の銀座一丁目)で幼年時代を過ごした私にとって、鉄砲洲さんのお祭りは大変懐かしい思い出となっております。

大鳥居をくぐると本殿が、境内には末社・富士浅間神社と摂社・八幡神社、そして神楽殿と力石があります。本殿の右に広い社務所があり、その二階は二十畳程の広間になっております。

竹内満朋の都心での活動拠点・紫光会は、新富町の石野商店主・石野芳子が運営し、ローム太霊の講話と紫光会の主護霊会は長年ここで行われておりましたが、跡継ぎに恵まれなかった芳子が昭和54年に急逝し、親族に神霊の理解者がいなかったために拠点が消滅してしまい、以降、宮司の好意からここを会場としていたようであります。


当日は小田秀人が主宰している心霊研究機関・菊花会の集いでありました。小田秀人は、我が国の心霊研究草分けの一人で、物理霊媒の元祖・亀井三郎を初め、萩原真、内山若枝等と親しく、著書「四次元の不思議」(昭和46年・潮文社)の中の「霊媒を作った話」によると、竹内満朋は師によって物理霊媒の能力を開花させたと記してあり、その縁(えにし)から、“もうめったにやらない物理降霊会を、菊花会だけは特別に開いているのだ”とのことであります。

広間の一角に、黒い分厚い生地のカーテンでキャビネットが設えられ、椅子が一脚用意されております。その前面に八足(はっそく)が、その上に夜光塗料を塗布したメガホン・人形・ハーモニカ・ゴムボール等が置かれております。

広間が板敷きで椅子があったのか、あるいは畳敷きで正座したのか定かな記憶がありませんが、三十人ほどの会員が詰めかけており、窓は全て雨戸で閉ざされ、天井からいくつかの白熱灯が吊るされておりました。

竹内満朋がキャビネットの中の椅子に座ったので、私はサイダーの入ったコップを渡して口に含んでもらい、手拭いでマスクして後ろで縛り、背中に回した両手を紐で椅子に括り付けました。これで、喋ることも、又動くことすら出来なくなります。そして、キャビネット前面のカーテンをしめて会場の電気を消しました。

漆黒の闇のなかで、メガホンとハーモニカ、人形の夜光塗料の無機質な白さだけが浮かび上がっております。

審(さ)神者(にわ)を務める小田秀人が祝詞を奏上し、全員がこれに唱和します。終わると“オース”と言うローム太霊の独特な合図が、続いて“レコ〜ド”の声に従ってトロイメライの曲を掛けました。

暫くすると、八足の上に置かれたメガホンが、コツコツとノックしたのでレコードを止めると、メガホンがするすると空中に、それを追いかけるように人形とハーモニカとボールがが浮上します。ハーモニカが軽快な曲を、あたかも誰かがリズムを取っているように、上下左右に躍動しながら演奏し、人形がこれに併せてダンスを始めました。ゴムボールは八足の上をポンポンと飛び回ります−。

その軽妙さに我を忘れていると、会員の中から“おー”と言う感動の声が漏れてきました。空中に白衣の観音像が出現したのです。白衣観音像は、JR高崎駅近くの観音山に建立されている高崎白衣大観音が有名ですが、始めは後姿が、次に正面が浮かび上がりました。その純白で崇高な御姿は今も脳裏に焼き付いております。


“今日を皆よく来た。人生は粘りと痩せ我慢、そしてから元気が肝要、人生は〜”物理現象が終わると、メガホンからローム太霊の独特のイントネーションでの訓話があり、続いて妙高山玉造霊神から“お前たち皆お金が欲しいだろ〜、其れなら月末に稲荷に参詣すると−”と、現世での利益を頂く秘術の一端が披露されます。玉造霊神はローム霊団の現世利益を担当する鬼奇神で、妙高山の山中の祠に祭られております。


ほぼ一時間で 降霊会が終了し、審神者の合図で電気をつけてキャビネットのカーテンを開けます。そして、竹内満朋の手を椅子に括り付けた紐と、口をマスクしていた手拭いをほどきます。コップを差し出すと、口に含んでいたサイダー吐き出しましたが、その分量に変化はありませんでした。ここで助手の仕事は終了しました。


“物理降霊会はくたびれる。エクトプラズムを沢山使うからだ−”と竹内満朋は言っておりました。そう言えば、私も日頃あまり体験したことの無い疲労感があり、後日そのことを話すと、“それは、神霊が抽出しやすい参加者から、エクトプラズムを取り出して利用するのだ。”と教えてくれました−。

                                      終