小泉宗雄・「三光太源文化研究所」のご案内
平成29年6月吉日
スピリチュアル エピソード 第33話
昭和57年2月の事でした。腹痛に悩んだ父が重い腰を上げて、門下のSさんが紹介して下さった梅ヶ丘のH医院でレントゲンを撮ったところ、数日後、先生から私に結果を聞きに来るようにとの電話がありました。
会社の帰り道に伺ったところ、レントゲン写真を見せられ、“胃がんが拡がっているので至急然るべき病院で手術を!”と云われ愕然としました。
「尊い使命を授かっているのだから、病気では絶対に死なない」常日頃そう云っていたとは言え、長男を胃がんで亡くした父が、自分が胃がんだと聞いてどう思うだろうか、このことを何と説明したらよいだろうか、あれこれ思い悩みながら、夜道をとぼとぼ歩きました。
すると、「宗雄さんや」そう云う声が耳に聞こえてきました。それは何回か聞いたことのある、大正11年に亡くなった父の生母花お祖母ちゃんでした。因みに、祖父の益太郎さんは「宗雄!」と呼びかけるのですが、花お祖母ちゃんは何時も「宗雄さんや」と優しく語りかけるのです。
「お前のお父さんは癌なぞで驚く人ではないよ。でも、心配だったら、氏神様にお参りして、真言を一万二千回上げなさい」優しい声でその様に言ったのです。
その言葉に励まされて、氏神様の六所神社に行きました。そして神前でローム太霊が教えられた「?空無光真奇力存」と云う真言を1万2千回、1時間ほどかかってお供えして家に帰りました。
家には門下の北島いよさんと岡野絹さんが来ていて、祓いのための人形(ひとがた)を創っていました。「宗雄、どうだった」父がそう聞いたので「胃がんだよ。急いで手術をしなさいって」そう言うと、別に驚いた様子もなく「そうか。手術か。じゃあ、どこの病院がいいのかな」
「先生、大丈夫なんですか」いよさんと絹さんが心配そうにそう言うと「大丈夫、後は神様にお任せだ」そう云いました。
「お父さんが驚くと思って心配していたら、花お祖母ちゃんが出てきて『氏神様に行って真言1万2千回お供えしてから話しなさい』って言われたので、六所神社に寄って来たんだ」そう言うと「それはご苦労さんだったな」そんな会話があったのでした。
そして、父は私が勤務していた恵比寿の綜研の近くにある、都立広尾病院に入院しました。私が数年前に膀胱乳頭腫の手術をした病院で、ここなら毎日見舞いに行けるので便利だと思ったのです。
それから10日ほど経って手術をしました。結果は最悪でした。「癌が広範囲に広がっていて取りきれないので、やむを得ずそのまま蓋をしました」ドクターにそう言われて愕然としました。
「そんな馬鹿なことは無い!」ローム太霊に教えられた行を重ねると共に、毎日、見舞いに行きました。しかし、父は特に変わった様子を見せず、別に苦しむことも無いのです。私はつい安心してしまいました。「きっと奇跡が起きる」私を始め門下の皆がそう信じたのです。
しかし、その期待は叶いませんでした。4月26日の事でした。夜中に母が脳梗塞を発症し、救急車で永福町の永福病院に緊急入院したのです。私は母に付き添い、それから4日間は父の見舞に行くことが出来ませんでした。
ところが5日目の5月1日の夜中に、容態が急変したとの電話があり、広尾病院に駆けつけたところ、もう父は意識がありませんでした。父が亡くなる前の4日間、私は強制的に父から隔離されたのです。父は自分が死ぬなどとは露程も思わず、私もそう信じてしまったので、父が私に伝えたい大切なことが色々あったと思いますが、何一つ聞くことが出来ませんでした－。
葬儀は神式で、乃木神社の禰宜をしていた門下の青木さんによって行いました。そして、十日祭を終え、床に入りました。うとうとしていると「ぐおー」と云う音がしました。寝床の右手に物凄い火炎が上がり、強風に吹かれた様にそれが舞い上がったと思うと、巨大な白光色の球が炎の中から出現して、彼方に飛んで行ったのです。「父の御霊だ」そう直感しました。そして「親父はやっぱり偉かったんだ」そう実感したのでした－。
完